沼津朝日新聞 言いたいほうだい原稿

マイ・ザン・ブーさんの息子さん

 昨年、今年と二年ベトナムを訪問しました。枯れ葉剤による数多くの障害者に会いました。障害を背負わされた子ども達に何の罪もありません。アメリカという国の恐ろしさを改めて確認しました。

 どれだけ多くの子ども達をこの目で見ても涙が出てくることはありませんでした。しかし、上に掲載しているマイ・ザン・ブーさんの息子さんの写真を見て、わが息子と横顔がそっくりだと気づいた途端、涙が止まらなくなりました。枯れ葉剤を浴びたマイ・ザン・ブーさんの二人の息子さんは、元気で学校へ通っていたものの、10歳に近づくにつれて脚がきかなくなり、やがて寝たきりの生活になりました。写真のように体が見にくく変形し、25歳を前に御二人とも亡くなりました。

 自分でもびっくりしました。いかに自分が子ども達を深く愛しているか、涙が気付かせてくれたのです。そのことを教えてくれたブーさんの息子さんは、もうこの世にいないのです。

 いつか、ベトナムでブーさんにお会いすることができたら、何と言って慰めることができるのか。たぶん、共に涙するしかないだろう、と思うのです。