写真に俳句を----フォト575

 NHK BSで放映されている上記番組を、とても楽しく見ています。同じ写真を見ても、これだけ感受性が違うのか、と驚くことばかりです。自分なりに、常に考えながらウォーキングしていると、毎朝がさらに楽しくなりました。いくつかの作品を紹介します。

いのち


にしひがし 行き交ういのち あらたなり

(東名高速道の橋脚の下です。手前にお茶畑。新茶が刈り取りを待っています。そして、画面の向こうに墓地が見えます。東名を西から東、そして東から西に毎日無数の車が行き交っています。新たに芽吹くいのちと天に召されたいのち。いのちも行き交っているのです。)


やがて咲く


やがて咲く 吾子(あこ)が社会に 巣立つ頃

(ウォーキングでいつも通るお寺の桜です。5月に入りすっかり葉桜になってしまいました。来年4月、また満開の花をつける頃、娘も社会に巣立つかもしれません。)


草食系


草食系 俺にも彼女 できるかな

(猫が草を食んでいました。最近、女性にアタックしない男性が増えてきているようで、そうした若い男性を草食系、というそうです。この猫もそうなのかな?)


万緑に


万緑に みなそれぞれの 緑あり

(全山緑一色。まさに万緑の季節です。しかし、それぞれの緑をよく見ると、それぞれの緑がそれぞれの個性を主張している事に気づきます。子ども達も同じです。みんな同じように見える子ども達にも、それぞれに強い個性が隠れているに違いありません。)


スター誕生


繰り返す スター誕生 また新た

(蓮の花が次々に咲き誇っています。昨日まで艶やかさの極みだった花が、今日はすっかり花弁を落としています。隣には別の蕾からさらに艶やかな花が咲きました。そうして次の世代に引き継がれていくのでしょう。)


退職


退職し 満員電車 懐かしき

(里芋の茎が押し合いへし合うように背丈を競っています。私が満員電車で通学したのは、もう40年近く前。今ではたまに東京で電車に乗ると、その混雑ぶりに圧倒されるばかり。毎日満員電車で通勤していたサラリーマンが退職し、もうこれで満員電車ともおさらばできる、と喜んでみたものの、きっとすぐに懐かしさとともに働き盛りだった自分を思い出すことになるのでしょう。)


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梅雨明けて セミ説法の 始まりし

(ウォーキングでいつも通るお寺にある日蓮さんの銅像です。梅雨が開けた途端に裏山から激しい蝉時雨。それまで沈黙していた日蓮さんの代わりに、まるで蝉が説法を始めたように思えました。)


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天空の 夜回り終えて 月いりぬ

(ウォーキングの途中、西の空に月が沈もうとしていました。一晩かかった天空の夜回りを終えたのです。与謝蕪村の「月天心 貧しき街を 通りけり」という句が頭をよぎりました。)