大晦日:「沈みゆく大国アメリカ 」読了

(水曜日:晴れ)

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■いよいよ大晦日。ところが今年は大変でした。昨夜、背中の状態が落ち着いたので、少しストレッチをして背筋を伸展してみました。やってみると、少し楽になったような気がしたからです。

 ところが、これがいけませんでした。床に入ってから痛みが、かえって酷くなりました。またしても痛みのために熟睡できない一晩を送りました。

 思い切って当番病院に朝一番ででかけました。静岡医療センターが、今日の外科当番病院でした。着いたのが8時15分頃でした。受付をして待っていたのですが、いつまで経っても呼ばれることがありません。整形外科に申し込んだのですが、診療していないのかな、とスタッフの方に尋ねると、患者さんが多いのでもう少しお待ちください、とのこと。

 結局診察を受けるまでに3時間以上待ち、帰途に着いたのが13時を過ぎていました。待っている間スタッフの皆さんの対応をじっと見ていると、本当に親切に応対してくれているのが分かります。診察してくれた先生も、昼休みの時間も取れるのかな、とこちらが心配するほどの繁忙ぶり。そんな中でも、いわば他愛もない私の訴えにきちんと耳を傾けて下さり、診察、検査の指示、そして診断とテキパキと対応してくれたのです。

 骨に異常は無いので心配は無い。とにかく安静が必要だから、何もしないのが一番だ、という指示でした。安心しました。方向さえはっきりすれば、あとは時間の問題ですから安心です。

 問題は、結局のところマンパワーが単純に足りないのです。人員が患者数に追いついていません。あれでは、スタッフは本当に大変です。泣きわめく子どもの声、ギブスを巻いた高齢者、次々とタンカで運ばれてくる患者さんたちを見ていると、これでは診察を希望して来院した自分の方がはた迷惑な存在に過ぎない、と思うようになりました。

 それでも待ち時間の間に、「沈みゆく大国アメリカ (集英社新書) 堤 未果 (著)」を読み終えることが出来ました。画期的な社会変革と思われがちなオバマ・ケアが、実は多くの国民にとって大変な災厄をもたらすという指摘は驚きでした。保険会社や製薬会社ばかりがボロ儲けの構図は、どこかサブプライムローンの構図と似ています。というか、瓜ふたつなのです。

 そして次なるターゲットが日本だ、という指摘は、恐ろしいものです。国民が無知のまま無防備でいると、結局一般大衆が一番の危害を被るのだ、という指摘なのです。この本を読み終えただけでも、救急当番病院で費やした三時間半の待ち時間は無駄ではありませんでした。

(●^o^●)

 医療に身を置くものとして、こうした知識をきちんと理解し、日本の素晴らしい医療制度を何としても守っていかなければいけない、と再認識した大晦日でした。

■さて今年を振り返ると、一月に起きた父の旅立ちから始まった一年でした。同級生の友人達に尋ねると、それぞれ父親が比較的若い時に亡くなった方が多かったためか、父の死というものの捉え方が、自分とは若干違っているように感じました。

 天国への扉が開いた、というのが、父の死に直面して自分が感じた率直な印象でした。それまでは、高速道路をひたすら走っていた、というような感じでしょうか。ところが突然、目的インターチェンジの引き込み線に入ってしまったのです。

 いつまでも高速道路にいるつもりでいたのが、引き込み線に入ってしまい、しかも料金所までの台数が数えられるほどの距離になってしまった事に突然気づいたのです。後ろには次の車が待っていますから、逃げ出すわけには行きません。順番とは、そういうものでしょう。今まで、そんな当たり前のことにすら気づきませんでした。自分は永遠に生き続けられるかのごとく生きてきた、というと大袈裟でしょうか。

 ところが父が旅立つと、そんな考えが錯覚であることが自明のことになります。もう残された時間に限りあることが、はっきりと自覚出来ました。さて残された時間を、どう生きるのか。フルマラソンを走ったあの日、右膝の痛みに苦しみながらも走り続けることができたのは、そんな自覚もあったのです。

 あと何回満開の桜を見ることができるのか。もうカウントダウンは始まっているのです。

 残された人生を何のために費やすのか。自分のためであることは、言うまでもありません。でも自分だけのためでは虚しい限りです。私憤は多くの場合、愚かさに始まり後悔に終わる、と言われます。ただし公憤は別物でしょう。生き続ける限り健全な公憤は失うべきではありません。大袈裟に言えば、世のため人のために生きる部分も無ければ、その人の人生は寂しいものです。

 自分にできる範囲内でできることを常に考えながら実践していくこと。今年は、本当にそんなことを考えさせられた一年でした。



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