ぐるっと地中海

(火曜日:晴れ)

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■先日NHKで女優の野村佑香さんを旅人として「ぐるっと地中海」が放映されました。ネットによれば、

 世界の港町をめぐり、今に生きる人々の営みから壮大な歴史が見えてくる“ぐるっとシリーズ”第8弾。今回は、西地中海沿岸の港町を巡ります。
 
 旅人は、女優の野村佑香さん。大学在学中は西欧文化を勉強し、ヨーロッパの文化や歴史が大好きな“歴女”です。今回は、番組が始まって以来、野村さんがずっと願っていた、地中海沿岸の港町を巡ります。撮影は11月から12月初旬という冬の時期でしたが、地中海でも珍しいほどの暖かい天候に恵まれ、美しい海と恵みあふれる港町の暮らしを体験してきました。10世紀から続くワイナリー、迫力満点の北アフリカの海賊料理などなど・・・たっぷりご紹介します。

 地中海では、かつて、北のキリスト教国家と南のイスラム教国家が、土地と海の覇権をかけ争った時代がありました。港町には、その2つの文化が時に衝突しながら時に融合し生み出されてきた、豊かな文化で彩られています。

 2回シリーズの前編( 17 日放送)は、地中海の北に位置するフランスのマルセイユからスペインのマラガまでの旅。生ハムに秘められた知られざる歴史や言い伝え、イスラム教の王国が残した文化を大切に引き継いでいる農家など・・キリスト教文化圏を旅します。

 後編(24日放送)はスペインからジブラルタル海峡を渡り、モロッコとチュニジアなど、イスラム教文化圏を巡ります。イベリア半島を攻略した兵士の末えいが、離れ離れになった家族への思いをはせながらオリーブの木を守り続ける理由、コルセーロと呼ばれたヨーロッパと戦った海賊の末えいの港に対する思いに触れます。

 雄大な大地で営まれる豊かな暮らしを体感しながら、歴史の中ではぐくまれた“地中海”オリジナルの文化に触れる旅を一緒にしませんか?


 見終わった感想は、まさにかつて読んだ「地中海のほとり」そのものだった、ということでした。牟田口義郎さんが書かれたこの本は、私の愛読書の一番手です。平和な海とアラビア語で呼ばれる地中海が、かつては、まさにそのほとりで一体感を持った地中海世界を形成していた時期もあるのです。

 やがて8世紀に入りアラブがイベリア半島に侵入し、地中海はアラブの海になります。1492年のアランブラ宮殿の陥落を最後に地中海はキリスト教徒の海になりました。ヨーロッパ文明はギリシャ文明をルーツにしている、とはよく言われることですが、実はギリシャ文明は一度は絶滅しているのです。絶滅したギリシャ文明をアラビア語に翻訳することで、いわば復刻し、それをヨーロッパ文明に手渡したのがイスラーム世界だったのです。

 遅れた文明しか持たず野蛮人だったのはキリスト教徒世界だったのです。現在の中東の混乱を理解するためには、それこそ千年単位の歴史を振り返る必要がありそうですし、自由と民主主義のヨーロッパと野蛮なアラブという単純な図式しか描けないのでは、決して理解も解決もできないことを心しないといけません。

 マスコミが報じている内容は、あまりに皮相で観るに耐えません。たぶん時の政権に遠慮しているのか、欧米に遠慮しているのかも知れません。この辺りも、田中 宇さんの国際ニュースを読まれるのが核心を掴む上で一番の早道ではないでしょうか。



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