■20220319-0321(土曜日ー月曜日)

ようやく再会できた新得駅舎です。3月21日時点で、まだまだ雪が一杯です。今年は、もう見ることはできないと、一時は諦めました。

■先月の10日に今年もスキーを楽しむつもりで、北海道にやってきました。ところが今年は、思いもかけない事態に遭遇したのです。豪雪で札幌発のJR特急が、軒並み不通になってしまったのです。

いつもでしたら、新千歳空港駅から電車に乗り、南千歳駅で特急おおぞら号に乗り換え、新得駅でホテルの送迎バスを利用できるはずだったのです。残念ながら先月は、新得駅に辿り着けずに、別の旅程を急遽組み直しました。

今回こそは大丈夫だろうと、新千歳に乗り込みました。空港ターミナルビルのショッピングワールドで、お気に入りの回転寿司を楽しもうと、順番の列に並んだまでは良かったのです。

ところが、そこで思いもよらない案内が、スマホに届いていたのです。JR特急おおぞら号が、またもや運休しているという案内です。新千歳空港駅から南千歳駅に14時42分発の普通電車で向かい、14時48分発の「おおぞら7号 特急釧路行」に乗る予定だったのです。16時33分に新得駅に着く予定でした。

低気圧が近づいていました。いま豪雪に襲われているわけではないのです。それでもJRは、早々と運休の決定を発表していました。慌てて二人でみどりの窓口に向かいました。詳細を確認しなければなりません。

たどり着いた窓口で聞かされたのは、今日も明日も石勝線の特急は運休だ、というものでした。さて、どうすればよいのか。まずは新得駅、あるいは帯広駅まで行くことができるのかどうかを、確認する必要があります。

バスが第一候補です。ところが、帯広行のバスに乗っても、その先の検討が付きません。トマムに向かうバスは満席でした。たとえトマムにたどり着いても、その先タクシーがあるかどうかは、保証がありません。

今回もホテルをキャンセルして別の旅程を組み直すか、と話がまとまりかけたところで、Sunの一言「タクシーで行く?」が発せられたのです。さて調べてみると新千歳空港駅からサホロリゾートスキー場までは、132キロ、車で2時間ほどとあります。案内所で調べてもらうとタクシー代は、おおよそ3万5千円ほどかかります。

さて二人で顔を見合わせました。決断のしどころです。そして二人が出した結論は、タクシーで行く、でした。さっそくタクシー乗り場へ直行。ちょうど一台に家族連れが乗るところでした。さて次の一台が来るのか心配していると、千歳交通のタクシーがやって来ました。

初老の運転手さんに、「サホロまで行ってもらえますか?」と尋ねると、大丈夫です、とのこと。高速道路を行きますよ、と確認されましたが、それより他に道はありません。

スタートです。出発してまもなく高速道路に乗りました。もちろん除雪されていますので、快適とも言える道中でした。ただし、快適だったのはトマムICまででした。そこから一般道に降りてからは、圧雪の上を飛ばすことになりました。ホワイト・アウトと言うほどではないものの、半ば吹雪の中のドライブは、快適とはとても言えない状況です。

特に対向車が来ると、恐ろしい時間帯となります。無事にすれ違うことができるかどうか。いくらプロが運転しているとはいえ、何が起こるかわかりません。考えてみればホテルの担当者が、特急が運休になって、レンタカーで来られるお客さんもいますが、という言葉に軽々しい行動を取らなかったことを感謝しました。命がけの運転になっていたからです。

途中雪の中で、狩勝峠の標識が見えました。ホテルへ向かう送迎バスの中で、何度か見て記憶に残っていました。もうすぐです。でも、まだそこから9キロあったのです。吹雪の中の9キロは、短い距離ではありませんでした。

ようやくホテルの案内板が見えました。ところが、その案内板のとおりに右折したものの、ホテルの玄関に辿り着けないのです。雪の壁に阻まれて、見当が付かなくなっていたのです。

一旦道を戻って、再度掲示板に沿って走りました。どうやら、途中で道を間違えていたようです。ようやくホテルの玄関前に到着しました。2時間が経過していました。タクシー代は高速料金も含めて、33,000円ほど。こんなに長い距離をタクシーで走ったのは、産まれて初めてでした。

ホテルは、すっかり雪の中でした。

ようやく、たどり着いたホテルは、雪に埋もれていました。スキーへの執念です。今年しなければ、次はもう無いかもしれない、という思いです。

お風呂に入って、レストランに向かいました。今夜は洋食コースしか空いていません。和食の席は、19時30分からしか空いていなかったのです。

コロナ感染対策で、アクリル板越しの食事です。北海道は、大変厳しい対策を取っていました。

こうして、ようやく初日が終わりました。なにはともあれ無事に到着したのですから、文句はありません。明日のスキーに備えて、早めに休みました。

■20220320(日曜日:曇)

サホロリゾートスキー場です。日高山脈を背景に、美しいゲレンデです。

■さて今日から2年ぶりのスキーです。楽しみでもあり、怖さもあります。怪我をしないか心配なのです。緩やかな斜面だけを、のんびりと滑っていれば、まず怪我をすることは無いでしょうが、それだけでは面白くありません。

1番リフトだけを上り下りしていれば、まず怪我の心配はありません。でも、せっかくはるばるやって来たのですから、ゴンドラリフト・サホロ岳山頂駅まで登って、滑り降りたくなるのです。標高1,050メートルです。

さて、そうは言っても、まず大変なのがスキー用具の装着です。スキー・ウエアを着ることから始まり、スキー靴を履き、スキー板とストックを持ってリフトへ行くまでが、まさに難行苦行なのです。

本当に大変です。スタートラインに立つまでに、疲れてしまうのです。それでも10時前には、なんとか準備を終えて1番リフト前に立つことができました。前回このリフトに乗った日は、記録的な寒さが、ここサホロを襲っていたことを思い出しました。2年前です。

リフトに乗っていて、あんなに寒さを感じたことはありませんでした。初めての経験です。ウエアを通して、寒さが突き刺さってくるのです。ゲレンデを滑っている間は、もちろん寒さを感じることはありませんが、立ち止まって一休みしようものなら、寒さに震える羽目になります。ゲレンデで日向ぼっこができないのです。これには本当に参りました。

幸い今回は、そんな寒さはありません。立ち止まってのんびりと、景色を楽しむこともできました。午前中は、4番リフトで何度も往復して、足慣らしです。2年ぶりにしては、上出来です。転ばずに何とか滑れました。

ところが好事魔多しで、落とし穴が待っていました。二人乗りリフトを降りる際に、ドジをしてしまったのです。リフトの降り口で、右側に乗っていたSunが降りるのを、待ちすぎてしまったのです。Sunが降りた時には、リフトはUターンしていました。慌てて降りようとしたものの時すでに遅しで、リフトに振り落とされるように放り出されました。雪溜まりの中にです。

スキーを履いた状態で雪溜まりの中に放り出されると、身動きが取れません。係の方が急いでリフトを止めて、声をかけてくれました。最初は自分自身の力だけで、何とか脱出しようともがいたのですが、スキーを履いたままでは起き上がれませんでした。係員の手を借りて、ようやく脱出できました。誰もいないところで、こんな状態になったら、まず助からないということが実感できました。本当に恐ろしい数分間でした。

ようやくゲレンデにたどり着きました。

天候は曇り時々晴れ。そして、時々吹雪と目まぐるしく変わりました。12時前にはゲレンデのレストランに行き、軽めの昼食を取りました。2年前には現金だけしか使えなかった食堂も、今回はペイペイが使えるという進化ぶりです。

13時前には準備を終えて、午後の部の開始です。私はゴンドラ乗り場に直行です。長い列ができていました。利用客が例年より多いのかと思いきや、原因は別のところにありました。密を避けるために、別グループの人は同乗させないのです。

Sunは別のリフトに向かいましたので、前後の組とは同席できずに、私は一人で大きなゴンドラに乗ることになりました。前の組は自衛隊の皆さんでした。雪山の訓練でしょうか。驚いたのは、使用しているスキーの古さです。あれでは装着するのに随分と時間がかかりそうです。同席してお話をしようと楽しみにしていたのですが、同行できずに大変残念でした。

一日無事に終えることが最優先です。Sunも2年ぶりのスキーです。

さて頂上駅に到着しました。海抜1,050メートルです。天候が良ければ最高の見晴らしですが、残念ながら霧がかかってよく見えません。恐ろしい斜面を、おっかなびっくり滑り降りました。とにかく怪我をしないように、ゆっくりと滑り降りるしかありません。晴れ渡ってはいませんでしたが、それでも見下ろす景色は雄大です。時折、日高山脈が一望できます。

15時にホテルで待ち合わせになっています。それまで、何度か第2リフトを利用しました。最後は文字通り、膝が笑ってしまうという状態です。これ以上滑っていると危険だと判断し、帰路につきました。こうして2年ぶりのスキーも無事に、滑り終えることができました。

ホテルに帰り、さっそくお風呂に直行し、温水と冷水に交互に浸かるアイシングを行いました。これは、とても効果的でした。翌日の筋肉痛が全然違います。

17時半からは和食での夕食です。一日を無事終えて、二人で楽しく時を過ごしました。こんな一日であれば、ぐっすりと眠れるはずです。

■20220321(月曜日:春分の日)

新得駅です。青空も見えていました。

■あっという間に帰宅の日になってしまいました。朝風呂に入り、朝食を取り、そして9時50分の送迎バスに乗り、新得駅に向かいました。運転手さんによれば、今年のサホロ周辺は、特に雪が多かったというわけではなかっとのことでした。一方、千歳は記録的な大雪で、新千歳空港も閉鎖され、多くの搭乗客が空港で夜を明かしたり、市内を走るバスが2日間不通になったりと大変でした。同じ北海道でも、随分と異なります。ついつい札幌の天気予報が、そのまま北海道の天候かと早合点してしまうのですが、全く別の地域と考えたほうが良さそうです。北海道は広大なのです。


定刻通りの特急おおぞら号に乗り、2時間の列車の旅です。新夕張駅を過ぎる頃までは、時折雪の舞う、どんよりとした天候でした。それからは南千歳駅が近づくに連れて、時折青空も見えるようになりました。南千歳駅で乗り換え、新千歳空港駅に到着です。

■さて新千歳空港に到着しました。出発までには2時間ほどあります。まずは、パン屋さんで菓子パンとコーヒーを買って、しばし休憩です。名店街は大勢の人で混雑していました。

搭乗手続きも無事に終えて、飛行機に乗り込みました。隣り合わせの席が取れませんでした。ほとんど満席の状態。2時間弱の飛行です。新千歳空港には、もう雪は殆ど残っていませんでした。さすがに、あの記録的な豪雪からは時間が経過しています。それでも、まだところどころに雪がありましたから、いかに多くの雪が降ったかが想像できます。

無事に富士山静岡空港に到着し、駐車場に向かいました。楽しかった、そして2年ぶりのスキーも、何とか怪我なく終えることができ、ホッとしました。あと1時間で自宅です。東名高速道路は渋滞こそしていませんでしたが、車が途切れることはありません。

東京方面へ向かう車で、神奈川県内は一部大渋滞していました。愛鷹スマートインターまでは、幸い渋滞することは一度もなく、無事に家にたどり着き、本当にホッとしました。

JR特急が、またもや運休と知った時には、目の前が真っ暗になりました。本当に運に見放されたと思ったのです。タクシーで駆けつける、という決断は、随分と思い切ったものでしたが、今になれば、それ以外に手段がなかったことは納得できます。

また来年、二人で来ようと話し合ってサホロを離れました。スキーに挑戦する気力は、まだ二人には残っているようです。