■20220820(土曜日:晴れ)
■今朝はゆっくりと休みました。昨日は久しぶりに湿度が下がり、静岡市では50%を切ったようです。湿度が下がれば、多少気温が上がっても、日陰では爽やかですし、風が吹けば天国です。
ちょうど40年前の2月に、新婚旅行にスペインへ行きました。未だに私の愛読書となっている、「地中海のほとり」の舞台を見てみたかったからです。著者である牟田口義郎さんは、すでに亡くなられました。
朝日新聞記者として活躍後に、大学で教鞭も取られた牟田口さんのこの著書は、深い歴史的知識に裏付けられた旅行記です。いかにして地中海世界が崩壊し、ヨーロッパ世界が誕生したか、という大問題を分かりやすく、また楽しく解説してくれています。
その中で紹介されている言葉が、ナポレオンの強い感慨です。
ピレネーの向こうはヨーロッパではない。アフリカだ。
ナポレオンはスペインに侵略するわけですが、その当時を描いた数々の名作を残したのが、画家ゴヤでした。緑豊かなフランスからピレネー山脈を超えてスペインに入ると、そこはほとんど砂漠なのです。ヨーロッパではなくアフリカだ、と言われる所以です。
当時コンタクトレンズを使用していた私は、あまりの乾燥にコンタクトが眼にへばりついてしまうことに、大変驚きました。まるで砂漠なのです。
スペインは700年以上に渡ってアラブに支配されていました。つまりはイスラームの国だったのです。ギターの名曲「アランブラ宮殿の思い出」の舞台、アランブラ宮殿はイスラーム建築の傑作と言われています。
ヨーロッパ大陸の西の端が、何百年にも渡ってイスラームの国だったなどとは、多くの日本人にとっては想像もできないはずです。そんなことは学校では習いませんでした。
1月、イスラームの支配が終わった1492年に、あのコロンブスが 8 月 3日、ポルトガルのパロス港の近くサルテス川の河口から、三隻の船でインドを目指して出航したのです。そして歴史が変わりました。
「地中海のほとり」には、意外な歴史的事実が盛り沢山です。そして現在の世界を理解する上でも大切な歴史が描かれているのです。読んでいて飽きることがありません。
現在では絶版となり、手に入れることが、とても困難な本となってしまいました。私は自炊本、つまりはスキャンの後PDF化して、タブレットで読んでいます。
この本を読んでいて思うのは、歴史は繋がっている、という事実です。現在を理解したければ、過去に遡る必要があるのです。それを教えてくれたのが、「地中海のほとり」だったのです。
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