■20221010(月曜日:雨)

リヴィエール・ヒュー・ゴールドウイン
「エデンの園」

■今日は「スポーツの日」。休日です。1964年に東京オリンピックが開催された日です。当時私は11歳ですので、開会式の様子などは、白黒テレビで観た記憶があります。

しかし、開会式前日は大雨で、みんなでてるてる坊主を作って雨が上がるのを祈った、とは先輩から何かの会の挨拶で聞くまで、全く知りませんでしたし、雨のことは覚えてもいませんでした。

そして2021年の東京オリンピックです。57年ぶりのオリンピック開催でした。その期間は、私達の世代の、まさに人生そのものです。義務教育を終え、高校、そして大学に進み、社会に出て仕事を始めました。

結婚し子宝にも恵まれ、ついには孫まで生まれました。多くの同期生は、すでに退職して、悠々自適の生活です。

■この間における、社会的に一番大きな出来事は、冷戦の崩壊ではないでしょうか。世界の枠組みが一変したのです。つまりルールが変わってしまったのです。古いルールのもとで、日本は格別に優遇されていました。

ソ連や中国と対抗するために、防波堤が必要だったからです。一方、朝鮮半島は朝鮮戦争という、大きな犠牲を払いました。朝鮮半島の犠牲のもとで、日本は繁栄の階段を登り始めたのです。

それは、単なる地理的な幸運でした。日本がハワイ諸島の隣に位置していたら、決して「ジャパン・アズ・ナンバーワン」とは、一瞬たりともならなかったでしょう。

昨年の東京オリンピックでの贈収賄事件が、安倍元総理の死去に伴って、パンドラの箱が開いたかのような騒ぎです。1964年と2021年を比べてみて感じることは、その間に日本人は豊かになりましたが道徳的には、むしろ堕落した、という思いです。

安倍総理が、盛んに唱え続けた「日本を取り戻す」という思いは、ひょっとすると、そんな日本人の堕落ぶりが許せなかったからかも知れないと、錯覚しそうなほどです。ただ、それでは、いま捜査線上に名前が上がっている人たちが、安倍元総理のお友達ばかりという事実が、残念ながら辻褄が合いません。

これからこそが、近代日本の本当の正念場だという気がしています。世界は間違いなく多極化していくはずです。アメリカの言いなりになっていれば繁栄できた時代は、多分二度とやって来ないでしょう。

ほんとうの意味で、日本人の知恵を総動員しなければ、この難局は乗り切れません。ただし、悲観することはありません。新しい生き方を掴むチャンスなのです。ピンチこそチャンスなのです。