2022 年 02 月 11 日 北海道小樽市街と石狩湾です。

日: 2017年12月15日

百年の果てに

■ いいたい放題 ■

 ベトナム枯葉剤被害者支援の旅に六名の仲間とともに、今年も出かけました。昨年同様バクザン省職業訓練センターを中心に、女医でもあり施設長のトゥイさんが選んでくれた 14 軒の被害者家庭を訪問し、家庭状況を確認の上、皆様から寄付していただいた医薬品や生活支援金を、お渡ししました。

 センターでは医薬品の贈呈とともに、障害を持った子ども達と運動機能回復のための音楽療法、そして私は子ども達や職員の皆さんの眼科検診を行いました。被害者家庭訪問では、排泄など身の回りの世話を全て家族が行っていたのが 14 軒中 7 軒。その内の 5 軒では、ほとんど寝たきりで終日ベッドの上で生活しており、家族の負担は大変重いものでした。

 その中の一人、グエン・バン・カン(男性)さんは 1972 年生まれで 45 歳。母屋とは別の小屋で一人暮らし。放置していると徘徊してしまうので、普段は鍵を締めて閉じ込めてある。母は七四歳。父は南部カンボジア近くで従軍、枯葉剤に被曝し、その後 31 年前に死亡。カンさんは知的障害のため、食事のコントロールができない。大きな声を出すが暴力をふるうことはない。排泄の始末ができないので世話が大変だ。毎月 140 万ドン(約7千円)の支援金。収入は支援金のみの生活。人民委員会に増額を要請したが断られた。母親の年金は無い。カンさんも以前は薬を服用していたが、効果がないので止めた。母親は米を作って生活の足しにしている。夫が死んだ後の子育てが一番たいへんだった、とのこと。父方の祖父が手伝ってくれた。母方の祖父はフランスとの独立戦争で戦死。そして夫も被曝した枯葉剤の後遺症で死亡。夫の実家に現在住んでいる。

 1887 年フランスによる植民地支配が確立、その後のフランスとの独立戦争、そしてアメリカとのベトナム戦争が集結した 1975 年のサイゴン陥落で、ようやく百年ぶりの平和をベトナムは取り戻しました。植民地時代には庶民の暮らしは徹底的に収奪され、政治犯収容のためにフランスはひたすら監獄を作り続け、1910 年からの十年間、毎日三人の政治犯がギロチンによって首を切断された計算になる、と言われています。そしてベトナム戦争での枯葉剤の散布です。樹木の葉を枯らすだけだ、と喧伝された枯葉剤は、遺伝子を損傷し、未だに被害者の発生は止む気配がありません。ベトナムは苦しみ続けているのです。

 いったん戦争が始まれば、敵も味方もありません。開始を命じた人間は天寿を全うしても、戦った人間たちは、子々孫々まで苦しむことになるのです。

 我々はいつの時代にも、歴史に学ぶ必要があるのです。

陰謀論

20171215(金曜日:晴れ)

伊豆湯ヶ島温泉です。

■今朝もどうした訳か目覚まし時計に気づきませんでした。確認したら、もう6時前でした。結局走ることはなく、月の半分で、まだ40キロほどしか走っていません。これは、まずい状況です。LSDを嫌でも組み込まないと目標が達成できそうにもありません。

 来週は北海道へスキーに出かけますから、今月はアテロームの切開手術と術後の管理の2つが走る機会を減らしています。致し方ありません。状況に柔軟に対応するしかありません。

■東京新聞の朝刊4面の「視点」には、ロシアのプーチン大統領の大統領選挙への出馬に関して解説しています。「発展を阻む根深い欧米不信」と題されています。300年間のロマノフ王朝では、何とかして欧州一流の大国として認知してもらうことを目指していたが、プーチン氏の欧米感は全く違っていて、

ロシアを弱体化しようと攻撃を仕掛けている、という根深い陰謀論だ

 と、いうのです。そして人的資源にも恵まれたロシアの発展を阻害してきたのは、こうした発想なのだ、と結論づけています。

 何も知らないで読むと、なるほどなるほどと頷きそうなのですが、田中宇さんの記事を読んでいる私には、いささか奇異に感じます。シリア内戦の解説もそうでしたが、マスコミの解説と実態は、まるでアベコベでした。マスコミの解説はアメリカが平和を目指しているのにロシアが邪魔をしている、でした。

 「知ってはいけない 隠された日本支配の構造 (講談社現代新書) Kindle版矢部宏治  (著)」という本を読んでいます。この本を読んでいるとマスコミの説明は、全く核心を外していることが分かります。まさに隔靴掻痒の感です。肝心なことに触れていません。この点を日本国民が理解し変革を真に望まない限り、日本の近代が正常化することも、さらにそれを超えることもできないように思えます。

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